企業型DCの税制メリットとは?
損金算入・社会保険料の考え方

税制

企業型DCが「税制面で有利」と言われる理由を、会社側・従業員側に分けて整理します。あわせて、見落とされがちな社会保険料の考え方も解説します。

※本記事は一般的な説明であり、個別の税務判断を行うものではありません。実際の取り扱いは、必ず税理士等の専門家や最新の法令・公的資料でご確認ください。

⚠ はじめに(大事なお願い)

税制は法改正により変わる可能性があり、また会社や個人の状況によって取り扱いが異なります。本記事の内容は導入検討の入り口としてご活用いただき、具体的な判断は必ず顧問税理士等にご確認ください

会社側の税制メリット

掛金は、原則として全額損金算入

会社が拠出する企業型DCの掛金は、原則として全額を損金算入できます。つまり法人税の計算上、経費として扱えるということです。

特に注目したいのが役員の扱いです。役員報酬を増やす形で退職金を準備すると税・社会保険の負担が重くなりがちですが、企業型DCなら法人の損金で、役員自身の退職金を計画的に積み立てられます。役員1名の会社から導入できるため、小規模法人の「社長の退職金づくり」としても活用されています。

従業員側の税制メリット:3つの段階すべてで優遇

① 積立時:掛金は給与課税の対象外

企業型DCの掛金は給与として扱われないため、所得税・住民税の課税対象になりません。「給与でもらってから貯金する」のと比べて、手取りベースで有利に積み立てられます。

② 運用時:運用益がまるごと非課税

通常の証券口座では、運用益に約20%の税金がかかります。企業型DCの口座内では運用益が非課税のため、利益がそのまま再投資され、複利の効果を最大限に活かせます。積立期間が長いほど、この差は大きくなります。

③ 受取時:大きな控除が使える

60歳以降の受け取り時には、一時金なら退職所得控除、年金形式なら公的年金等控除という大きな控除の対象になります(受け取り方・他の退職金との関係により異なります)。

社会保険料の考え方(選択制の場合)

選択制の企業型DCでは、従業員が給与の一部を掛金にまわすと、その分は社会保険料等の算定基礎に含まれません。結果として、本人・会社双方の社会保険料負担が適正化される場合があります。

⚠ 必ずセットで理解すべきこと

社会保険料の算定基礎が下がるということは、将来の厚生年金の受給額や、傷病手当金・出産手当金などの給付額にも影響し得ます。「保険料が下がってお得」という説明だけで導入するのは危険です。当法人は社労士法人として、この給付への影響まで含めて従業員にご説明することを大切にしています。

NISAとの税制面での違い

NISAも運用益は非課税ですが、積立の原資は税金・社会保険料が引かれた後の手取りです。一方、企業型DCは掛金の段階から課税対象外。「入口から優遇があるか」が大きな違いです。そのぶん企業型DCは60歳まで引き出せないため、両者は役割分担で使い分けるのが現実的です。

まとめ

  • 会社が拠出する掛金は原則全額損金算入。役員の退職金づくりにも活用できる
  • 従業員は積立・運用・受取の3段階すべてで税制優遇
  • 選択制では社会保険料の適正化につながる場合がある一方、将来の給付への影響も必ず理解を
  • 具体的な税務判断は、必ず税理士等の専門家に確認
シャローチくん

自社の場合の税制メリットを知りたい方へ

制度設計から社員説明会・導入後の金融教育まで、社会保険労務士法人ビジネスパートナーが一貫して伴走します。